第26回日本保育保健学会 in 下関

会頭挨拶

伸びゆく力を皆で支える〜保育保健の充実をめざして〜

第26回日本保育保健学会

会頭 金原 洋治

日本保育保健協議会理事
医療法人社団かねはら小児科理事長

おいでませ! 歴史と海峡の街下関へ

令和という新しい時代になりました。令和2年5月23・24日に下関市で第26回日本保育保健学会を開催致します。関門海峡がある下関は、源平最後の合戦「壇ノ浦の戦い」、明治維新、日新講和条約など日本の歴史が大きく動く時、変革の舞台になった街です。この学会が、日本の保育保健の新しい時代を切り拓くための土台づくりの役を果たすことができれば幸いです。

学会のテーマは、「伸びゆく力を皆で支える〜保育保健の充実をめざして〜」としました。平成の時代の30年間に、子どもが育つ環境が目めまぐるしく変化し小児医療にも大きな進歩がありました。保育所・幼稚園・こども園における保育や健康の問題や課題も大きく変わり、保育者や看護師、園医、行政に求められる内容も大きく変化してきています。伸びゆく子どもに必要なことは、「食べること・遊ぶこと・眠ること」であり、昔も今も変わりませんが、変わったものもあります。

私がはじめて園医になった平成10年以前は、保育保健の主な課題は感染症やアトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー疾患、脳性麻痺や知的障害などの障害児保育が主な課題だったような気がします。その後の約20年間に医療面では、各種感染症の迅速検査やインフルエンザの治療薬の開発、食物アレルギーの治療薬エピペンの開発などがあり、園での対応も大きく変化しました。事故予防は、傷害予防という考え方で取り組みが行われるようになりました。

児童虐待の児童相談所への年間対応件数は、年間約1.000件でしたが、平成28年は133.800件で実に100倍以上に増加しています。平成12年に「児童虐待防止法」が施行され、園における児童虐待の早期発見と対応は保育保健に求められる重要な課題になっています。平成10年頃から「園で気になる子」の論文が増えてきました。平成17年に「発達障害者支援法」が施行され、発達障害がある子の早期発見や早期支援が保育保健の大きな課題の一つになりました。子どもの相対的貧困率の上昇が社会問題となり、平成26年に「子どもの貧困対策に関する法律」が成立し多面的な取り組みが始まっています。在宅医療を受けながら生活する医療的ケア児の増加により、平成29年「医療的ケア児」の支援体制が義務づけられ、厚生労働省は「医療的ケア児保育支援モデル事業」を事業化し、園での医療的ケア児の受け入れ体制整備の取り組みが始まっています。

これらの問題に対する保育保健の質の向上が必要ですが、保育所・幼稚園・こども園だけで対応できるものではありません。医療・保健・保育・教育・行政・地域社会のすべての人たちの連携や恊働が必要なものばかりです。このような視点で、講演やシンポジウムを選びました。

お楽しみの企画として楽しいワークショップ、市民公開講座では魔女の宅急便などの作品で国際アンデルセン賞を受賞した角野栄子さんをお招きました。

本学会は、「伸びゆく力を皆で支える」ための楽しく学べる学会になると思います。多くの皆様の参加をお待ちしております。